この10年間、毎年3万人以上が自殺で亡くなっていることでも分かるように、現代の日本はストレスの大変強い社会であるといわれています。ストレスとはもともと、物体に力が加わって生じたゆがみを指す言葉です。しかし今では、ゆがみの原因となる力を指す言葉になり、さらに人間の心や体に影響を与えるさまざまな要因についてもストレスと呼ばれるようになっています。
一般にストレスという言葉には「悪いもの」というイメージが付いて回ります。しかし実際のところストレスには、良い面もあれば悪い面もあるのです。例えばスポーツの大会への出場を目指し努力する場合を考えてみましょう。出場に対する緊張や過度の練習による体への負担はストレスの悪い面と言えるでしょう。その反面、目標に向かいひたむきに努力する気持ちや、良い成績を取った後の達成感はストレスの良い面と言えます。わたしたちは良い意味でのストレスを通じて自分自身を向上させ、生きがいを生み出すことができるのです。
しかし現代社会は過労や人間関係の複雑さのため、ストレスの悪い面ばかりが強くなっています。強過ぎるストレスは脳の神経にダメージを与え、副腎皮質ホルモンの過剰な分泌を介して血圧や血糖値を高めるなど、うつ病をはじめさまざまな病気をもたらすことになります。わたしたちは、日々の生活で自分自身が受けているストレスをできるだけ減らす努力をする必要があるのです。そのためには、周囲の人と協力しながら問題を解決していくとともに、趣味やスポーツ、楽しいおしゃべりなどを通してストレスを解消していくことが大切ではないでしょうか。
