内視鏡を利用した手術には、口や肛門から入れて胃や大腸のポリープを取る内視鏡的ポリープ切除、腹に穴を開けて胃や大腸を切除する腹腔(ふくくう）鏡手術、肋骨(ろっこつ)の間に穴を開けて肺を切除する胸腔鏡手術、椎間板や関節の手術、子宮の手術、膀胱(ぼうこう)の手術などがあり、あらゆる領域で行われるようになりました。
その中でも近年進歩が目覚ましく盛んに行われているのが、大腸がんや胃がんなどを切除する腹腔鏡手術です。胃を切除しているのに腹にほとんど傷が残らないだけでなく、手術後の食事が開始される時期も退院の日も早く、とても体に優しい手術です。内視鏡手術は①傷が小さく美容的に優れている②内視鏡で拡大して見ながらの手術のため、緻密な手術ができ出血も少ない③患者さんの社会復帰までの期間が短い―など多くの長所があります。その反面①手術が難しい②発展途上の手術である③病気の状況により内視鏡では手術が困難な場合がある―など、これから克服していかなくてはならない課題も残されています。
皆さんや家族が手術を必要とする病気になったとき、より安全でより体に優しい治療を受けるために、病院だけでなく関係する多くの業界が力を合わせて技術開発に取り組み、課題を一つずつ解決しています。それでも今はまだ内視鏡手術が適している場合と適さない場合があります。専門医の話をよく聞き、より良い治療を選択してください。
上尾中央総合病院 宮内邦浩
