肺炎とは、一般的には細菌の感染によって肺に炎症が起こった状態で、発熱、せき、たん、呼吸困難、胸痛などの症状を伴います。高齢者や基礎疾患(呼吸器疾患、糖尿病、心臓病、腎臓病)がある人や免疫抑制剤等の内服者など、免疫力が弱っていると発症しやすくなります。
肺炎は昨年度の死亡原因の中で、がん、心疾患に続く3位(それまでは4位)で、年間約12万人が亡くなっています。亡くなる人の多くは高齢者です。高齢者は、発熱やせき、たんなどの特徴的な症状に乏しいため受診が遅れたり、重症化しやすいので注意が必要です。また誤嚥(ごえん)(口腔(こうくう)内の雑菌が肺へ侵入する)や風邪(特にインフルエンザ)にかかった後に肺炎になることも多くあります。このような肺炎の半数近くは肺炎球菌という細菌によるものです。予防としては、口腔内を清潔に保つことや、肺炎球菌ワクチン(5年間有効)・毎年のインフルエンザワクチン接種が有効です。
小児から若年者は、マイコプラズマという病原体によるマイコプラズマ肺炎が多く、健康な人に発症します。症状は、頑固なせき(たんは少ない)と38度以上の発熱が特徴です。家族や学校などの小集団で感染し、時に大流行することがあります。風邪症状との区別がつきにくいので、注意してください。
その他にもいろいろな病原体が原因で、肺炎が起こることがあります。また発熱、せき、たん、呼吸困難、胸痛などの呼吸器症状が長引くときは、結核やがんなど病原体以外の事が原因の場合もあります。心配があればワクチン接種も含めて、医療機関で相談してください。