認知症は何らかの原因で脳の神経が傷つけられ、記憶力や生活能力が低下する病気です。近年の高齢化に伴い、現在全国には300万人もの認知症患者がいると推定されています。
認知症は、脳の神経細胞に異常なタンパクがたまるアルツハイマー型認知症や、脳梗塞によって周囲の神経細胞が傷つけられて起こる血管性認知症と両者の合併型が全体の90%を占めています。しかしその他にもさまざまな原因で起こる認知症があり、中には治療可能なものもあります。
打撲などにより頭蓋骨と脳の間に血液がたまる慢性硬膜下血腫、脳脊髄液が脳の隙間に過剰にたまる正常圧水頭症、甲状腺機能低下症などによって起こる認知症は、原因になった病気を治療することで認知症自体を改善することができます。また血管性認知症やアルツハイマー型認知症は、バランスの取れた食事と規則的な運動を続け、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病を防ぐことで、発病しにくくなる可能性があると言われています。
最近ではアルツハイマー型認知症に使える薬の種類も増え、患者さんの病状に合わせた薬の選択ができるようになっています。これらの薬は認知症自体を回復させるわけではありませんが、病気の進行を遅らせたり、病気に伴う問題行動を軽減することで介護を容易にするなどの効果が認められています。
どんな治療や介護が必要かを判断するには、まず正確な診断が必要です。かかりつけの医師に相談の上、必要なら専門医の診察を受けて症状を正確に診断し、患者さんやご家族にとってよりよい生活が送れるようにしましょう。