風に乗って遠くへ運ばれる花粉は、鼻にも入ります。花粉症の人には、花粉を鼻から外に出そうとしてくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状が次々に起こります。日本では原因になる花粉は50種類ほど報告されていて、症状は花粉が飛ぶ時期に出ます。スギ、ヒノキなどの樹木は春に、カモガヤなどのイネ科は初夏に、ブタクサ、ヨモギなどのキク科の植物は秋に症状がみられます。
原因になっている花粉は血液検査や皮膚、鼻の粘膜での検査で知ることができます。その時期にはできるだけ外出を控え、外出の時には眼鏡やマスクを着け、帰宅後には手洗いやうがいをして、体に付いた花粉の量を減らすことが大切です。また睡眠不足やストレスがあると症状が強くなりますので、疲れやストレスをためないようにしましょう。
花粉が飛び始める2週間程前から薬を使い始めると、症状が軽く済むことが知られています。症状が軽い場合には飲み薬ですが、鼻づまりが強い場合には鼻に付ける薬を使うこともあります。また原因になっている花粉エキスを少しずつ注射して体の免疫力を付ける皮下免疫療法を行っている施設もあります。この治療ではエキスの濃度を上げるために3カ月程かかり、その後エキスの濃度を維持するために3〜5年の通院が必要です。現在では唯一の根治療法と考えられていますが、重大な副反応が起こる場合もあるため専門の施設で行っています。鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)や鼻茸(はなたけ)などによって鼻がつまっている場合には手術療法が行われます。早めに医療機関を受診して、適切な治療を受けると良いでしょう。
上尾中央総合病院 原睦子