うつ病とは、やる気がしない、憂うつで気分が落ち込む、何をやっても楽しくない、眠れないなどを主症状とする精神科の病気で、脳が疲れ果てて動かなくなってしまった状態です。中高年に発症することが多く、真面目で几帳面、責任感の強い人が仕事や家事・育児に頑張り過ぎた結果、引越しや転職・出産・身内の死などがきっかけになります。服薬してゆっくり休むことが大事です。従来これを「内因性うつ病」と言っていました。
ところが近年、①若年者に多くおおむね軽症②仕事ではうつ的になるが余暇は楽しく過ごす③就業・就学上のストレスにより発症する④未熟で他者への配慮が乏しいといった特徴を持つ「新型うつ病」と言われる患者が増えてきました。 これらの特徴の他、目覚めた時の気分は悪くないが、夕暮れ時から憂うつになってくる、自分を責めるより他者を責める、食べ過ぎてしまう、たくさん寝過ぎてしまうなど「内因性うつ病」とは反対の症状が見られます。薬の効きが悪く、遊べるけれど仕事や家事・育児ができない状態が長く続くことも珍しくありません。
周囲からは甘えていると見られがちで、病気ではなくストレスに弱い性格上の問題だという考え方もありますが、本人は深刻に苦しんでいて自殺に至ることもあり、薬と休養だけで改善しない場合には、カウンセリングや認知行動療法、職場や生活環境の調整など、 精神科の専門的な治療が必要になります。
上尾の森診療所 佐藤順恒