ある日突然、聞こえていたはずの耳が聞こえなくなり、耳鳴りや耳がふさがった感じが続く。「電話が故障しているのでは?」「風邪かなと思いました」と、数日してから受診することがあります。
初めて発症する原因不明の感音難聴(聴覚神経の障害)は突発性難聴と診断され、早期の治療が勧められます。激しい目まいや嘔おう吐とを伴う場合には、難聴に気が付かないこともあります。数日〜1週間以内に発症し、聴力検査で骨導聴力の低下(感音難聴)があれば、ステロイド剤の治療を2週間程度行います。難聴が強い場合や目まいがある場合、高血圧や糖尿病などでステロイド剤の副作用に注意する場合には、入院が必要です。
治療の効果は、発症から治療を開始するまでの期間以外にも、目まいの有無や難聴の程度、年齢、合併症などにも影響されます。その結果治る人、治らない人、回復するものの難聴が残る人がそれぞれ同じくらいの割合です。一般的に若い人や難聴の程度が軽い人、目まいのない人、早く治療を開始した人ほど治りやすいと言われています。また聴力が回復しても、耳鳴りや耳がふさがった感じが残ることがあります。
最近は高血圧、糖尿病、心疾患の既往歴のある人や高齢の患者さんが増えています。日頃からストレスや騒音を避けて、規則正しい生活を送り「聞こえが変だな」と感じたら早めに耳鼻咽喉科を受診するとよいでしょう。
(平成26年8月)上尾中央総合病院 原睦子