水痘(すいとう)(みずぼうそう)は水痘帯状疱疹(すいとうたいじょうほうしん)ウイルスによる感染症です。感染力が強く、空気感染をします。感染すると約2〜3週間の潜伏期間で発症します。発症する1〜2日前から感染力をもつので、保育園や幼稚園などの集団生活で流行します。発疹は全身に広がり、次第に水を持った水疱に変化します。さらに3〜4日経つと発疹は乾いてかさぶたになります。38度前後の熱も2〜3日続きます。感染すると、全ての発疹がかさぶたに変わるまで、約1週間近く登園、登校ができなくなります。
治療は抗ウイルス剤の投薬や外用治療を行います。健康な子どもではほとんど重症化せずに治癒しますが、1歳以下の乳児や、15歳以上の思春期または成人では合併症の危険性が高くなります。合併症として、皮膚の二次性細菌感染、肺炎、脳炎などがあります。抗がん剤治療などを受けて、免疫が低下しているときには、生命の危険を伴うこともあります。日本では、年間100万人程度が発症し、20人程度が死亡していると推定されています。
従来、水痘の予防接種は任意接種だったため、接種率が低く、流行を防げませんでしたが、平成26年10月より定期接種となったことで、防げるようになりました。水痘の定期接種は1歳と2歳の子どもを対象に2回行います。通常1回目の接種は生後12〜15カ月までの間に行い、2回目の接種は1回目接種後6〜12カ月経過した時期に行うこととなっています。前述の通り、水痘の免疫のない成人が感染すると重症化しやすいので、任意接種であってもできるだけ接種するようにしましょう。
(平成28年3月 上尾キッズクリニック 竹下和秀)