最近、予防接種の体制が大きく変わり、子どもたちはたくさんのワクチンを接種することになっています。定期接種では4種混合、ヒブ、肺炎球菌、BCG、麻疹風疹、水痘、日本脳炎、2種混合、さらに現在一時的にストップしている子宮頸がんワクチンがあります。また主な任意接種としてロタウイルス、B型肝炎、おたふくかぜ、インフルエンザがあります。これらのスケジュールをこなすため、複数のワクチンを同時に接種することもあります。これほどたくさんのワクチンを接種することが必要かどうか迷うかもしれません。
ワクチンには大きく二つの役割があります。一つは「個人防衛」です。ワクチンはかかりやすい病気の原因となるウイルスや細菌の毒性を弱めたりなくしたりして、抵抗力だけを付けられるようにしたものです。ワクチンを接種することによりその病気にかからなくなったり、かかっても軽い症状で済んだりします。ワクチンが苦労して作られた理由は、その病気で命を落としたり、重大な後遺症に苦しんだりする人が多いためです。お子さんを守るためにも、ワクチンの接種を受けましょう。
ワクチンのもう一つの役割は「社会防衛」です。お子さんがワクチンの接種を受けないために病気にかかり、弟や妹、お腹の中の赤ちゃん、友達にうつしてしまうかもしれません。みんながワクチンを接種することにより、まだワクチンの打てない赤ちゃんや体力の弱い人、ワクチンを打っても十分な抵抗力が得られなかった人たちも守られます。
ワクチン接種は自分自身のため、そしてみんなのために大切です。
(平成28年6月 かわかみこどもクリニック 川上哲夫)