たばこは、がん(肺、咽喉頭、食道、膀胱など)、慢性閉塞性肺疾患COPD、虚血性(きょけつせい)心臓病、脳卒中など生活習慣病のリスクを増加させます。「身体に悪いと分かっていてもなかなかやめられない」、中には「死んでもたばこを止めたくない」という人もいるでしょう。またたばこが健康に悪いと分かっていても、自分だけは大丈夫と思っている人も多いと思います。しかし、がんにかかる割合だけ取ってみても、吸っている人は吸わない人に対して男性は1.6倍(がん死亡は2.0倍)、女性は1.5倍(同1.6倍)にもなることが分かっています。またたばこは吸っている人ばかりか周りの人にも同じようなリスクを与え、特に子どもでは乳幼児突然死症候群、小児がん、気管支・肺疾患など深刻な健康被害と関係し、知らないうちに自分の周りの人をも傷つけている可能性があることをよく理解すべきです。
一方で、禁煙した人の健康被害のリスクは、吸い続けている人より明らかに低下することも分かっています。では、多くの害があるたばこをなぜやめられないのでしょうか。それはたばこの煙に含まれるニコチンがたばこへの依存を作ってしまうことが大きな原因です。このやっかいな依存性をなくす飲み薬が健康保険の適用になっていて、一定の条件をそろえた保険医療機関で禁煙治療が受けられるようになっています。治療は3カ月かかりますが、この薬での禁煙成功率は高く、治療を受ける価値はあります。自分のため、大事な家族のためぜひ禁煙しましょう。
(平成28年7月)