寝つきが悪い、途中で目が覚めて再入眠できない、熟睡感がない、早朝に目が覚めるなどの症状を不眠といいます。夜間に眠れないと、日中の眠気やだるさ・集中力の低下・イライラなどの症状が出現します。何らかの不眠の症状がある人は、日本の成人の3分の1にも上るといわれています。さらに、週に3日以上、少なくとも1カ月間以上(米国精神医学会精神疾患の診断・統計マニュアル第5版では3カ月間以上)、夜間眠れないために、日中の生活に支障がある状態を不眠症といいます。不眠が長期間持続すると、生活習慣病(高血圧、糖尿病、肥満)やうつ病などになりやすくなります。
不眠症の原因は、ストレスによるもの、睡眠へのこだわりによるもの、物質(酒・カフェイン・たばこ・医薬品など)によるもの、体の病気によるもの、精神の病気によるもの、睡眠習慣や環境の問題によるものなど、さまざまです。さらに、不眠症以外にも、脚の不快感で眠れないむずむず脚症候群、いびき・呼吸途絶で眠りが浅くなる睡眠時無呼吸症候群など、不眠の症状が出現する病気がいくつかあります。
不眠の治療は睡眠衛生指導などを中心とし、それぞれの原因に応じた治療を受けることが重要です。例えば、うつ病による不眠はうつ病の治療が必要です。睡眠薬を使用する場合は、専門医の指導のもと適切に服用する必要があります。普段の心掛けとしては、@朝は一定の時間に起床し、朝日を浴びるA睡眠前はカフェイン・喫煙・スマホやパソコン・寝酒などを控えるB眠るため以外に寝床を使わない――などの習慣が大切です。
不眠の症状がある場合は自分の睡眠状態を把握しておき、専門医に判断してもらいましょう。
(平成29年7月)上尾メンタルクリニック 八木義和