男性の5人に1人が痛風またはその予備軍であり、従来好発年齢といわれた中高年層から若年層にまで広がっています。痛風の本当の怖さは発作だけではなく、脳卒中、心筋梗塞、腎障害(透析)などさまざまな生活困窮状態を引き起こすことです。さらに要介護状態にも結びつき、本人だけでなく家族、地域を巻き込むことになるため、その対策は家族も一緒にすることが大事です。
予防と治療のポイントは食事・運動・内服治療の根気強さです。食事療法の目的は、肥満の解消です。適正なカロリーとバランスのとれた食生活を心掛けてください。尿酸はアルカリ性の水分によく溶けるため、野菜・海藻などのアルカリ性食品を摂取するとともに水分を多く摂取し、尿量を増やしましょう(1日2g程度)。また、肉や魚の内臓、魚の干物などにはプリン体が多く含まれているので注意しましょう。含有量が極めて多い(食品100c中プリン体300_c超)ものは鶏レバー、イサキの白子、アンコウの肝、マイワシの干物などがあります。含有量が多い(200〜300_c)ものは牛・豚レバー、カツオ、大正エビなどです。含有量が少ない(50〜100_c)ものは豚ロース・バラ、牛ヒレ、ハム、ベーコン、ウナギ、ホタテなどです(プリン体摂取量は1日400_c以内)。アルコールは尿酸を増やし排出も阻害するため、種類を問わず飲み過ぎないようにしましょう(特にビール)。有酸素運動は効果的ですが、激しい運動はかえって尿酸値を上げて逆効果です。また過度のストレスも尿酸値を上昇させますので、適度な休養・リラックスを心掛けましょう。また、内服加療はゆっくり尿酸値を下げ、6_c/デシg以下を維持します。「尿酸値が下がった」と休薬され、不幸な転帰にならないよう医師とよくご相談ください。
(平成31年1月)榎本クリニック 榎本信行