肝機能異常を指摘される人は、健康診断・人間ドック受診者全体の25lといわれています。肝機能異常の人は、精査し診断確定した後治療が開始されます。今回は代表的な肝炎であるC型慢性肝炎と非アルコール性脂肪性肝炎(NASHナッシュ)、そして近年話題の検査フィブロスキャンを取り上げます。
C型慢性肝炎は肝硬変、肝不全、肝癌と命に関わる病態に進展します。ウイルス排除はインターフェロン製剤から経口抗ウイルス薬(DAA製剤)に移行し、副作用の減少・9割以上の著効率・治療期間の短縮と著しく治療が進歩しました。ただし、ウイルス排除後も発癌リスクはあるため3〜6カ月ごとの超音波検査、腫瘍マーカーなどの検査が必要であるとの注意喚起がされています。特に男性や肝臓の線維化が進展された人は発癌しやすいので注意が必要です。
NASHは肝炎ウイルスやアルコールといった原因がないにも関わらず、肝臓に脂肪沈着や炎症、線維化そして発癌を引き起こします。近年は肝癌の原因としてNASHの割合が急激に増加しています。発症の原因としては、肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧などの生活習慣が密接に関与しています。
フィブロスキャンは肝硬度(肝線維化の評価法)を非侵襲的に測定できる注目されている検査です。慢性肝炎から肝硬変への進行度を評価するためや、治療後を含めたC型肝炎発癌リスクの評価、NASHをはじめ各種肝疾患の線維化の評価などに役立ちます(さらにオプション機能として肝脂肪量測定ができます)。
健康診断で肝機能異常を指摘された人、以前C型肝炎の治療を行ったがその後検査をされていない人、C型肝炎の治療を考えている人、生活習慣病があり肝機能異常を指摘された人などは肝臓専門医にご相談ください。
(令和元年9月)榎本クリニック 榎本信行