日本人の8人に1人が発症する慢性腎臓病(CKD)は、血液中の老廃物を取り除く働きを持つ腎臓の機能が正常の60l以下に低下するか、蛋白尿が持続する状態を指します。重度になるまで自覚症状がなく、次第にむくみ、倦怠感、だるさ、食欲低下、吐き気などが出現するようになり、脳卒中、心筋梗塞のリスクが上がり、進行すると慢性腎不全となり、人工透析や腎移植を要する状態になります。しかし、CKDは高血圧、糖尿病、脂質異常症などを適切に管理し、生活スタイルを見直すことで、予防が可能な病気です。
@血圧/高血圧を指摘されたら食事運動療法に加え適切なコントロール治療を受けてください。内服を先延ばしにすることでCKDのリスクが増加します。塩分摂取量を減らしましょう(130/80oHg未満を目指す。尿蛋白が多い人は125/75oHg未満)。
A血糖/糖尿病を指摘されたらHbA1c(過去1〜2カ月間の血糖の状態を示し7l未満を目指す)、血糖のチェックに加え、微量アルブミン、GFR(糸球体濾(ろ)過量)、クレアチニンなども定期的に検査しましょう 。
B脂質/LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪に加えレムナントコレステロールも重要です。LDL120r/dl未満、可能であれば100r/dl未満を目指す。
C運動/1日30分程度の有酸素運動で尿たんぱくが減少し、生活習慣病を改善することが示されています。
D体重/摂取エネルギーの減量、消費エネルギーの増量のため食事制限、運動習慣の確立は重要です。BMI(体格指数)=体重(キログラム)÷(身長(メートル)×身長(メートル))を目安に肥満を防止しましょう。
E適量飲酒、禁煙/過量飲酒は血管収縮、血圧上昇を招きます。喫煙は容量依存的に腎血管を障害します。禁煙することをお勧めします。
(令和元年12月)榎本クリニック 榎本信行