風疹(ふうしん)は、風疹ウイルスによる急性の発熱と発疹を起こす感染症です。2〜3週間の潜伏期の後、発熱、首のリンパ節の腫れ、全身に赤い発疹が出現します。発熱するのは3〜4日間で、多くの人は軽い症状で終わります。まれに急性脳症や血が止まりにくくなる血小板減少性紫斑病を合併することもありますが、この病気の一番の問題は先天性風疹症候群です。
妊娠初期の女性が風疹にかかると、生まれてくる子どもに難聴や白内障、心臓病、精神運動発達遅滞などの障害がみられることがあります。平成24年10月〜平成26年10月には、45人の先天性風疹症候群の患者が報告されました。風疹の予防には、予防接種が最も有効です(定期予防接種は、1歳児と小学校入学前1年間の幼児が対象です)。
妊娠を希望している女性で、ワクチンを接種していない人や抗体がなくなっている人は、妊娠の前にワクチン接種をしておくことをお勧めします。また、妊娠中の女性は予防接種を受けられないため、妊婦の周りにいる人は風疹を発症しないよう予防に努めましょう。埼玉県では、16歳以上50歳未満で妊娠を希望している女性とその同居者に対して無料で風疹の抗体検査を実施する制度があります。
また、今年度から風しんの追加的対策として、公的に風しんの予防接種が行われなかった昭和37〜53年度生まれの男性に対し、抗体検査と風疹の予防接種が実施されています。今年度対象の人には、すでに無料クーポン券が送付されているので、ぜひ利用してください。
(令和2年3月)かわかみこどもクリニック 川上哲夫