新型コロナウイルスの感染予防のため、終日マスクを着用する生活を送るようになりました。一方、厚生労働省からは熱中症予防行動のリーフレットが作成され、「マスク着用により、熱中症のリスクが高まります」と注意喚起がされています。マスクを着けると皮膚からの熱が逃げにくくなり、気づかないうちに脱水となりやすい状態に陥ります。ウイルス対策を十分考慮した上で、屋外で人と十分な距離(少なくとも2メートル以上)が確保できるときには熱中症予防のためにマスクを外しましょう。
熱中症の症状は高体温、倦怠(けんたい)感、脱力感、大量の発汗、筋肉痛、悪心(おしん)嘔吐(おうと)頭痛、めまい、痙攣(けいれん)、意識障害などがあります。対処としては、意識障害があれば救急要請が必要です。意識障害が持続すると死亡リスクが高くなります。涼しい場所に避難し、脱衣と冷却を行い、同時に水分やイオン飲料、塩分を補給します。自力で水分の摂取が不可能な場合や症状が改善しない場合は医療機関を受診する必要があります
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コロナ感染予防と熱中症予防のため、次のことに気を付けましょう。室内でエアコン使用中は小まめに換気する/換気で過度に室温が上昇しないよう設定温度を調節するなど工夫する(室温28度、湿度70パーセント以下を目安に環境を整える)/人数が多く密にならないように注意する/マスク着用により心拍数や呼吸数、体感温度が上昇し身体に負荷がかかるため、各種作業や運動の過小評価に注意する/マスク着用時は小まめに水分補給する/マスクが汗で湿ると通気性が悪くなるので適度に取り替える 。
(令和4年7月)榎本クリニック 榎本信行