手湿疹とは、いわゆる手荒れです。手に、赤みやぶつぶつ、水ぶくれ、カサカサやひびわれがさまざまな形で、多くは混じり合って出現します。かゆみを伴うことが多く、ヒリヒリした痛みを伴う場合もあります。
体質的に皮膚が荒れやすい人に出る場合と、何らかの物質でかぶれて発症する場合があります。もともと体質的に手が荒れやすい人はかぶれもおこしやすく、こじれることが多いです。理美容師、調理師、看護師など水仕事が多い人、紙類を扱い手が乾燥しやすい人、家事をする人などは悪化しやすいです。また最近ではアルコール消毒の機会が多く、手荒れの患者さんが増えています。
皮膚には適度な潤いと皮脂が必要です。アルコールなどは皮脂を減少させ、乾燥は潤いを損ないます。手を洗ったらハンドクリームをこまめに塗ることで潤いが保たれます。家事や手作業のときは手袋を着用しましょう。綿の手袋のうえからゴム手袋を着用すると、ゴム手袋のかぶれや汗による刺激も軽くなります。寒く、空気が乾燥する季節にはハンドクリームを塗り、手袋をして寝ることで症状が良くなる人がみられます。
手荒れが悪化した場合には、ステロイド外用剤による治療が必要になります。適切に使用することで症状はかなり改善しますが、体質や環境で個人差があります。また、手湿疹だと思っていても「手の水虫」や、「疥癬」(かいせん)という皮膚にダニがつく病気など、他の疾患のおそれもあります。これらの病気は検査が必要で、治療法も違います。手荒れが治りにくい場合は皮膚科を受診しましょう。
(令和3年12月)