昨今、健康的な日常生活を維持するため、免疫力を高めることが注目されています。免疫力を上げると加齢や病気などによる体調の変化を改善することができます。適度な運動と良質な睡眠、ストレスの解消、そしてバランスの取れた食事を心掛けることが必要です。元来免疫システムは20歳を過ぎた頃最も高くなり、以降次第に低下していきます。そのため、青年期以降は免疫状態に注意した食事をすることが重要だといえます。免疫力に関わる食事の注意点を列挙します。
@免疫力の60〜70パーセントは腸にあるといわれています。腸内環境を良好に保つことで免疫力の低下を防ぐことができます。腸内細菌のバランスを整えるヨーグルト、漬物、みそといった発酵食品や、食物繊維、オリゴ糖は免疫担当細胞のバランスを改善します。酪酸は腸粘膜を修復して免疫機能を高めます。また、トマト、リンゴ、お茶に含まれるポリフェノール、魚に含まれるEPAなども腸免疫に関わっています。
A肉・魚・卵・大豆製品など良質なタンパク質をバランスよく取ることで免疫の働きが維持できます。
B体を冷やす飲食物は免疫をつかさどる細胞や酵素が十分に機能しなくなり、体温が1度下がると免疫力が30パーセント低下するといわれています。反対に体を温めると血流のめぐりがよくなり、免疫力を高めるリンパ球が増えるといわれています。
C過度のアルコール摂取は控えましょう。アルコールは肝臓の免疫細胞の機能を低下させます。過度にならないアルコールとは、ビール500ミリリットル、日本酒1合、焼酎1/2合、ワイングラス2杯、ウイスキー、ブランデー、ダブル1杯、缶酎ハイ1.5缶程度です。そのために、ノンアルコール飲料や休肝日などをうまく活用しましょう。
免疫力を上げる食事のポイントは「バランスの良い食事」です。免疫を維持するメカニズムは多くの種類の栄養素が複雑に関わっているため単一の成分だけでなく多くの成分をバランスよく摂取することが大切です。
(令和4年1月)榎本クリニック 榎本信行